2004年8月

「暑さに狂え」

 先日、熱帯夜の9時ごろ、新宿の雑踏を歩いていてふと空を見上げたら、なんとみごとなまんまるの満月。
 思わずオオカミのように「ウォオオ〜ン」と吼えそうになりました。
 私は寒いのは苦手ですが、暑いのは割合平気です。炎天下スケッチなど「ウォオオ〜ン」気分になれて、却ってはかどる位です。
 いい絵を描こうなんて気分はふっとび、思いきり楽しんでやろうという気になります。
 そんな時、なぜか私の頭に突然浮かぶのは、ゴヤの絵「巨人」です。実は中学生の時、偶然雑誌に載っていたこの絵を見て、生まれて初めて「血が騒ぐ」ということを経験したのです。吼えそうになったのです。
 暑さに参っちゃってる人、久しく描くことに「狂う」ことができないでいる人、ぜひ一度試しに、ゴヤの画集で「巨人」を見てみて下さい(30度以上の日か、満月の夜がいい)。「ウォオオ〜ン」となるかもしれませんよ。


ゴヤ「巨人」(プラド美術館蔵)
 巨人の下を数百頭の馬、牛そして人びとが逃げまどっています。ゴヤさんの「万華鏡」ですね。

「上野動物園の夏」(ワットマンF8 パノラマ)
38度の日の動物園不忍池のそば、身の丈1メートル位の怪鳥(コウノトリ種のハシビロコウ)が口をあけて薄笑いしながら、微動だにせず立っていました。明らかに「描いて下され」という態度だったのでいきなり目玉から描きました。もう一羽がずっと激しい嫉妬の目でこちらを見ていました。

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