2006年7月

自由さとまじめさ

 マルタ島スケッチツアー。ある朝のコーヒータイムで、K奈子さんが「私は、初めは線でルンルン楽しく描き出すんですけど、いつの間にかまじめになってしまうんです!」と話したら、ミラノから参加のM佳さんが「私もそうなんです!それで結局、また、まともな絵になってしまうのよね!」と応じて、それはなぜかという話しへと盛り上がっていきました。
 私にも、よくあることなのであらためて、考えさせられる話しでした。これは難しくいえば、直観から、分析へと移っていく思考回路をめぐるテツガク的問題といっていいでしょう。
 また、無心な気持ちとか、自由な心を保つことが、この世でいかに困難なことかということをもハラんでいますよね。
 私が、絵の入門には「線」からスタートするほうがよいとしているのは、「線」のほうが「光と影」の描き方よりも、より直観を保ちやすいと考えるためです。
 直観から分析に進むことは、ごく自然のことです。K奈子さん、M佳さんが考えるべきことは、直観をいかに持続させるかということではないでしょうか。
 作品は最後にはそれなりにまとめることになりますから分析の力は必要です。
 そのギリギリまで直観を持ち続けられるようになれば、絵はガラリと変わったものになるのではないでしょうか。
 もっと重要なことは、最初から「まじめ」に入っていってしまう場合です。分析から直観のコースです。これは「逆コース」なのです。
 続きは、この次に……。

ヴァレッタの岸辺(アルシュ 41×53cm)

 マルタ島はこの日38度の暑さでした。日陰なしの岸辺に座り、アルシュの大判を広げ、
ピグマ3ミリで手前の階段をグイグイ描くことからスタート。
 3時間位で線描きを終わりましたが、強烈な地中海の光とその影は、いくらがんばっても線ではとらえられない。
 色塗りの段階で、やはり「光と影の描法」や「遠近法」のお世話(?)になってしまいました。
小梅太夫ではないですが「ちっくしょう!」という感じですね。
 アジアのおだやかなモンスーン気候と違った南ヨーロッパで、「光と影」や「遠近法」の描法が、
生まれざるをえなかった理由が、よーく分かりました。
 いやー、暑い!
走ヴァレッタの岸辺(線描)
色塗りの後、右端と下を少し切り落としました。
ヴァレッタの岸辺(モノトーン)
色の「光と影」によって線の勢いは弱められ、ややまじめな絵になったかも……。

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