2007年6月
「色で悩む」

 あいかわらず「いい色が塗れない」とか「色」で悩んでいる人が多いです。これは、私も何度も言っていることですが、いい色が塗れないということは塗るためのモトである「線」にモンダイがあるということです。
 いい線─デッサンが描けたときは、「早く塗りたい!」という気持にかならずなります。そして色のイメージもすでに線描のときからふくらんできているのです。
 逆に線がうまく出来なかった時は、色を塗る気も起こらず義務感で塗るか、あるいは線の欠点を色でゴマかしてしまえということになります。
 人間の素肌と化粧やファッションの関係とよく似ていると思いませんか?
 素肌つまりものの本質を磨くことを忘れて、化粧やら外見を整えることばかりに悩んでも、決してコトは解決されません。
 ダ・ビンチの絵であれ、マチスの絵であれ、自分自身の絵であれ、モノのカタチを描いた絵画の魅力を素肌のように支えているのは、色ではなく、下描き、素描、デッサン線描などによる「線」に他ならないのです。
 色で悩むなら、まず自分の「線」にモンダイがないか、よくよく見つめ直し考えてみることです。
 「自分の線」を考え始めたとき、かならずその先に「自分の絵」さらには「自分自身の人生」が見えてくると思います。
 気分のいい「線」が描けるようになれば、色の悩みなどどこかへふっとんでしまうでしょう。場合によっては色など塗らなくてもいい絵になっているかもしれません。

新宿御苑のシダレザクラ(F10ワットマン)
桜が散った後は、近所を歩き回っては満開のツツジを描きました。ルーペ片手に持って……。
A ことしの4月6日のことです。新宿御苑のシダレザクラが7分咲き、という話を聞き、F10ワットマン抱えてすっ飛んで行きました。
写真のように、シダレザクラはきれいではあるけれど、とりとめがなく手がかりがありません。
 そこで最近よく持ち歩いている学童用のルーペで花を見ながらマイブックにスケッチを何枚かやってみました。
B 気分がのってきたのでF10紙を広げ、リブ1本で約1時間半描きました。遠景とディテールはピグマ0.1ミリで。「描き込みすぎたかな?」と思いましたが、これで完成。
C 翌朝、早起きして、朝メシ前にマスキングをやり、ウィンザーブルーのレッドシェイドで空をグラデーション塗りしました。自分では、この時が一番いい絵だったように思います。結局塗り上げてしまったのが「今月の絵」です。
 この春は、桜を沢山描きましたが、「線」のむずかしさ、そして面白さ、そして色を塗るとはどういうことかについて考えさせられた一枚です。

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