2007年8月

線描でスッピン勝負!

 相変わらず「色がうまく塗れない」と悩んでいる人が後を絶ちません。そう言っている人の絵を見ると、「線」がまるでなっていないことが多い。
 荒れたお肌を棚に上げて、「お化粧がうまく出来ない」と言っているようなものです。
 「自分の線」について常に考えている人は、色についてはそれほど悩んでいません。
 気持ちのこもったいい線が描けるようになると、そこに塗る色など、まあどうでも良くなってくるのです。そうでなければ、線描の途中で、色もしっかりイメージが出来てくるのです。(見よ、中国北宋時代の色無し山水画を!)
 西洋絵画が印象派以降20世紀に入って、マチス、カンディンスキー、クレーなどが現れたため、絵画があたかも色彩の芸術であるかのように私たちは思い込まされてきました。
 映像などのカラー化がそれに拍車をかけました。
 しかし、実際に絵を描く者ならすぐ気がつくことは、絵画が「もののカタチを描く」ことを基本とする以上、「線」を用いたデッサンこそが、絵画表現の原点であることに変わりはないのです。
 いかなる色であれ、色彩は面として広がる拡大性をその性質に持っているため、もののカタチをシャープに描きとることはできません。
 色で悩んでいる人は、あらためて自身の素肌つまり線デッサンを見直して下さい。
 しばし「色」など忘れ、スッピン勝負をしてみたら如何でしょうか?

「サンジミニャーノの塔」の線描
この6月、久しぶりに訪れたサンジミニャーノで、又も塔に登り、屋上で約3時間、風に吹かれながら描きました。
紙はアルシュ全紙、ペンはリブとピグマ0.05の2本のみ。
実はこれが8年前にほぼ同位置から描いた線描です。
これは今度。全紙に描く前にF4紙に描いてみました。
8年前はなぜあんなに落ち着いて描けたのだろう。今、同じ塔が揺らいで見えるのだ。
「サンジミニャーノの塔」(アルシュ76×56cm)
結局、線描は1日で終わらず、もう一度登ることになったが、ツバメがよく見えるようになりました。
色は帰国してから、3昼夜で完成。
これは9月展に出品します。ぜひ原画を見て下さい。  

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