2007年9月

旅スケッチの心得

 私は、もともと浮かれ性の性格ですので、旅スケッチでは、よくよく注意しないと、失敗をしでかしたり、いい絵が描けなかったりします。
 そこで出発前には、次の「3つの心得」をスケッチブックの裏などに書いて、心を静め、初心に帰って準備にかかることにしています。



 以上ですが、少し説明を加えますと……。
<その1>絵を描くということは、どこで描こうと、周りに誰がいようと、自分たったひとりの孤独な作業です。
 旅に出ると、仲間がいたり、いいガイドブックがあったりと、頼れるものにすがるユルい気持になりがちです。信じるものは、自分の目、自分の判断力だけということを思い知ることです。
<その2>恋人探しと同じで、モチーフは探し回ったり追いかけてもダメです。心静かにゆったりしていれば、必ず「目にとまる」ものが見えてきます。それがいいモチーフとの「出会い」です。
<その3>美しい色、ハデな色彩は、モノの表面にすぎません。色にまどわされず、モノのカタチそのものを見抜くことです。そこに「線」が浮かんできます。それを、思いきりよく紙に描き始めればいいのです。

 考えてみれば、この3つの心得は、絵を描くことすべてに通じることかもしれませんね。

<今月の絵>

秋川渓谷にて(F10ワットマン)
 この春は、日本では花ばかり描いていましたが、夏は渓流をもっぱら描きました。
動の水流や草と、静の岩との対比を眺めていると、何やら妖しい気分になってきます。
果たしてこのフェロモンをペンで掴まえられるか……。
A. 線描が4時間ほどで出来あがりました。水流と手前の草を浮き出たすために…… B. 他のすべてに、水彩のグレーではなく、墨で塗り、濃淡をつけました。この上に水彩で色を塗ったというわけです。
C. これが使った墨(松煙墨)です。墨は吉祥寺ユザワヤの40%引きセールで3,800円。

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