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2008年7月

 このところ新宿歌舞伎町の雑踏の中で、絵を描くことが続いています。
 都会のただ中でスケッチすると、1.人に囲まれたり雑音などで落ち着かない。2.動いている人物を描くのが難しい。3.ビル、クルマ、看板など無機的な線を持った構造物が多い。4.文字表示が多くレタリングが大変……。という絵を描く上での「四大難物」に、いやおうなくぶつかることになります。
 今回、私が歌舞伎町でスケッチをしてみて、その「四大難物」より、もっとすごい難題を課せられていることに気がつきました。
 5.自分が感じた街の印象に徹底してこだわらなくてはならない。
 ということです。
 私がこうして歌舞伎町で描いていると、「四大難物」でガチャガチャに組み立てられた、目の前の風景は、モネやルノアールなど印象派の画家たちや、広重から東山魁夷に至る日本の風景画家が描いた「秩序ある風景」とは、まるで違ったものだということを、思い知るのです。私たちは、今とんでもないカオス(無秩序)のただ中に生きているのですよ。
 そこで、ものは考えようです。
 カオスこそ、古来から創作する者にとって、おいしいネタはないのです。
 カオスには、絵の技術など通用しません。今こそ、腹を据えた自分独自のものの見方と感じ方を思いっきり発揮するときです。
 そこにきっと、現代の都会の風景画の突破口があるはずです。
 自分の絵の突破口もあるはずです。

<今月の絵>


新宿歌舞伎町2008(760×560)
A 大雑踏の中に3日通って出来上がった線描に色を塗りました。まずは手前の女性の金髪とピンク色を塗ったあと、勢いで空をオレンジ色に塗っていきました。そこでタイトルを「新宿歌舞伎町の午後」をやめ、「歌舞伎町ガーターベルト」にしようかとも思いましたが、結局表記のようにしました。2008年にしか描けなかった絵ですから。
B 構造物や建造物を描く「線」に、どこまで気持をこめたらいいのか、今だにわかりません。
一応それらしいカタチをとっていなけらばならないし、また好きなビルもあるし嫌いなビルもあります。
気持のこめ具合は「彩色」のときに、より露骨になっくるのは避けられません。

C 街の中の人物の色塗りは、ホント難しい。建物や並木などには実物の色というヒントがあるが、
人物の服の色は創作しなければならないからですね。
Sketch Reportもどうぞ……。