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2008年10月
上手な絵って何だろう?
上手な技術で描かれた絵を見て、人はよく「完成度がある」と言います。最高のほめ言葉の一つです。
私はかねてからこの完成度という言葉が嫌いでした。そもそもこの世に、完成した人間というのがいるのでしょうか、完成した人間でなければ、完成した作品など作れないはずです。
完成した、ということは、これで出来上がりということでしょう。言いかえれば精神の動きも何も止まりました進歩も終わりましたということです。もしそうであるなら「完成度がある」絵というのはもう動くことのない絵、極端にいえば生けるしかばねということにならないでしょうか。
死に化粧のテクニックがあまりにも巧みならば、死に顔も命あるように見えるものです。同じように、私たちは描写力の巧みさに惑わされて、死んでいる絵に気づかぬことが多いように思います。いつの間にか死にかけた絵に、死に化粧をする自分の姿にハッとすることもあります。
絵もまた人間も、血が通い動いているからこその命ではないでしょうか。生きているかぎりはヘタでもいいから、生きて動く絵を描き続けたいものです。
上手な絵とか、完成度の絵なぞくそくらえです。
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