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2009年1月 

なるか、脱「3バカ」

 明治いらい日本の絵を描く人間は、プロアマ含めておおよそ「3つのバカ」のどれかに属していました。
@「物まねバカ」流行の絵、売れ絵の物まねをする。
A「西洋バカ」ダビンチだピカソだと西洋の画家を神として仰ぐ。
B「デッサンバカ」デッサン力を本物らしく描く力とかん違いしている。

 この3つに共通するのは、自分の頭で考え「自分の絵」を描こうとする主体性のないことです。かく言う私自身もこの3つから逃れられないバカだったように思います。
 そして今、この3つのバカから脱しようとあえいでいるわけですが、新年にあたり、少し頭を冷やして考えましたところ、近頃私は旧3バカに代わり21世紀の「新3バカ」に侵されかけているのではないかと、ハッとしたところであります。「新3バカ」とは……。
@「線バカ」線で描きさえすればなんとかなるということで気の抜けた線や、手馴れた線を機械的に引く。
A「色バカ」線描ができそこないでも「色でなんとかしよう」という色化粧がクセになる。
B「数バカ」絵は数さえ描きまくればうまくなると信じて、同じような絵をただ沢山描く。
はて、これでは、自分の頭で考え、「自分の絵」を描こうとしないということでは、旧3バカと変わりはないですよね。
 ということでこのたび、冷水をかぶり身を正し、73歳脱バカをめざして新しい作品に向かっていこうと思っているところであります。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

<今月の絵>
チャンティエン橋の午後(760×560mmアルシュ)
滞在したサイゴン・モリンホテルの3階の部屋から描きました。
 2008年暮れ、ベトナム中部のフエに行きました。フエはベトナム最後の王朝があった地であり又、ベトナム戦争の激戦地の一つであった町としても知られています。
 戦後40年を経て、のどかな南アジアの古都の面影をとり戻したかも知れないなどと想像しつつ現地に着いたらこれが大違い。
 日本製のバイクの大集団が広い道路を轟音立てて走り回り、遊覧船やシクロの呼び込みがやたらにうるさい新興アジアの観光客ウエルカム都市がそこにありました。
 こういうビックリがあるから旅はやめられません。初めはビックリしましたが、一枚スケッチするごとに、私はすっかりフエが好きになりました。
これはホテルに着いてすぐマイブックにスケッチしたものです。
フンヴォン通りのガジュマル(455×380mmワットマン)
ガジュマルの並木がある繁華街で描きましたが排気ガス、スモッグで私もガジュマルもヘトヘト。
宮殿への道(アルシュ760×560mm・部分)
かつて米軍に怖れられた金星紅旗が風雨にひるがえる門の下を、今ヤマハのバイクに乗ったフエの若者が走っていきます。