今月のひとこと2010年1月
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2010年2月 

ドラクロアの「動き線」をまなぶ。

 ゴッホの「男線」とボッティチェルリの「女線」を見てきました(「今月のひとこと」10月と11月参照)。今月は「3つの線」の最後の1つ「動き線」について考えてみたいと思います。
 野外スケッチや旅スケッチでは、山や建物のように動かないものの他、必ず人物、動物や風に吹かれる木の葉、布、雲など「動くもの」に遭遇します。
 止まっているものならばたとえ初心者でもじっくり観察すればそれなりに線で描きとることができますが、「動くもの」にはその方法は通用しません。いくら目をこらして見たってアレレと思うまに歩く人も飛ぶ鳥も流れる雲も、その形を変えどこかへ去ってしまうからです。
 「動くもの」こそスケッチ=写生をする者にとって、いや絵を描く者すべてにとって、避けることのできない難題であると共に、激しく絵心をそそるモチーフでもあると言えるのではないでしょうか。
 昔からこれに挑んできた画家の中でも、際立って美しくもダイナミックな「動き線」を描いた19世紀フランスの画家、ウジェーヌ・ドラクロアさんのドローイングを見てみます。

<今月の絵>
天井壁画「戦争」のためのドローイング(部分) ドラクロア
1.槍をもった戦士が、馬に乗って突進している姿のスケッチ。かなりのスピードで描かれた線であることがわかります。ここには男線もなければ女線もない。布の柔らかさも槍の固さもすべて線の速度のちがいであらわされている。
2.これが1.の全体像。人も馬も土煙もすべて速度のある線で描かれています。「動き線」で描かれた画面は、全体がうごめいているように見えますね。
「民衆を導く自由の女神」(ルーヴル美術館蔵)のためのデッサン(左、中)と完成像(右)
3.まず(左)スピードのある動き線でイメージをつくり、つぎに(中)モデルを用いてしっかり面デッサンをした上で(右)色彩を使って仕上げるというコースをとっています。
「ライオン狩り」(油彩) ドラクロア
4.ドラクロアは「色彩の画家」とか「激しい情景を描く画家」といわれますが、その作品の骨格を支えているのが「動き線」であることがわかります。
 動き線をものにするためには、(1)速度ある線を使うこと(2)早描きするために人物、動物などのカタチをしっかりデッサンによってつかんでおくこと。
この2つにつきるようです。