2012年1月 2011年度永沢まこと賞発表

 大変遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
東日本大震災、原発事故……と多難だった2011年でした。
「実物(現実でもある)を見続けた上、意志を持った“線”で描きとる」という描法をとろうとしている私たちにも、当然重い問いが突きつけられたように思います。
 そうした中で、「線スケッチ」を続けられた全国数多くの方の中から次の6名の方を、2011年度永沢まこと賞受賞者として選出させていただきました。6人それぞれの方の作品は、ホームページ、ブログ、あるいは個展、グループ展などでもご覧になれます。
 今後の作品にもぜひ注目していただきたいと思います。
2011年度 第8回永沢まこと賞受賞者(アイウエオ順)
 岩本由佳(東京)、川端くみ(大阪)、榊田かおる(東京)、佐藤恵(東京)、高橋広(埼玉)、濱崎佳子(神奈川)以上。


「スペイン坂は夜の七時」(全紙作品)
「秋の新宿御苑」(全紙作品)

岩本由佳さん(東京)(新宿永沢教室) フーコのフーポレ! fuhpore!
 都会の情景の中の人物に取り組んできた方です。「東京三十六景展final」に出展した大作「スペイン坂は夜の七時」で見事にその成果を示しました。思い切って渋谷ギャルなど人物を中心にしながら、繁華街の夕暮れのざわめき、賑わいを美しく描き出しています。風景画の重要なジャンルとなっている都会画の一つの方向性を示しました。



「サン・ティアゴの庭」
「コスタリカの女」

川端くみさん(大阪)(関西ぺんすけ会) YOU CRAFT
 2003年に線スケッチを始めていらい、現場描き一本にこだわってきました。大好きなキューバなど中南米への旅を重ね、見るだけで笑えてエネルギーがもらえる、ラテン気質の明るいフクちゃん(ニックネーム)ワールド。リズムに乗ったその早描き線をごらん下さい。あなたのスケッチごころがそそられるはずです。

「夕映えのヒマラヤ」(全紙作品)

「高円寺の阿波踊り」(全紙作品)

榊田かおるさん(東京)(新宿永沢教室) KAORUのスケッチサロン
 民族衣装の女性像と異国情緒ある風景にこだわって描き続けてきました。人物の動感をとらえる線を、美しい色彩が包み込んで艶やかな舞台を創り出します。大作「高円寺の阿波踊り」からは祭り囃子が聞こえてきます。

「国立新美術館」(全紙作品) 「早稲田の古本屋」(全紙作品)

佐藤恵さん(東京)(池袋永沢教室)(5月東京で初個展開催)
 2009年に東京の街のレトロな古書店を克明な線で描き、見る者をアッと言わせた佐藤さん。2011年には超モダンな国立新美術館のカフェ・ラウンジを更に克明に描き出しました。「光」を大きくとりこむことによって、「印象派風線スケッチ」ともいえる新しい世界を見せてくれます。


「岩手・越中畑小学校」
「西和賀町の廃鉱」(全紙作品)

高橋広さん(埼玉)(カルチャースクール講師) 高橋広ペンスケッチの世界
 線と水彩によってヘビー級の重厚さと華麗さを描き出す高橋さんが、震災直後の岩手北上で「負けねべし!」と銘打った50点にも及ぶ個展を開きました。生まれ故郷でもある岩手の風景を力強くも情緒を排して描いた作品群は見る者の胸をうちました。

「御嶽山にて」 「御嶽渓谷」

濱崎佳子さん(神奈川)(府中高野教室) 絵と短歌の小さなギャラリー
 2005年以来、高野教室で、木を中心にスケッチを重ねてきた方です。濱崎さんの手にかかると、一本の何でもない木が妖力を得たように蘇ります。描きつづける内に、木、草、花そして石ころや岩も息を吹き返すようになりました。2010年初個展で一挙に公開。67歳の若々しいデビューです。