第1にあらゆるモノを塊(マッス)としてとらえず、それがたとえ塊のモノであっても、
「線」に翻訳して紙の上に表現することが、私にとって描くという実感を持てるからです。
第2に「線」で描くとすれば、ふつうエンピツで先ず描くということを考えますが、
私は原則としてエンピツを使わず、直接ペンを使います。
エンピツで描くことは「消して直す」ことがどうしても前提になります。
観察したモノを、そのまま素直に描くには消すことや、やり直すことを考えることはマイナスになります。
初めからペンで描けば、二度と描き直せない「線」を引く勇気と決断力が身につきます。
何よりも観察力が深くなります。
観察が深いほど、線を引く決断が潔くなり、勇気も持てるからです。線が美しく引けるからです。
但し、まったく初めての人は、まずエンピツでしっかり下描きをし、
何度も直した上でペンを使った方がいいでしょう。
でもなるべく早く、「エンピツ離れ」「消しゴム離れ」をすることです。



フェルトペンの「耐水性」のものです。
一番使うのはピグマペン「サクラパレス製、0.05ミリから3.0ミリまである)と
リブ(ミツビシ製)です。
一枚の絵で使うのは一種類かせいぜい二種類(たとえばピグマ0.5ミリとリブ)です。



初めは、F4サイズ(B4サイズくらい)のHOMO(アポロ製)またはF4・S74(マルマン製)、
小型サイズのHOMOドローイング(アポロ製)、S140(マルマン製)など画用紙系のほうが値段も安いし、
のびのびペンや絵具を使えます。
あるていど描けるようになったら、アルシュ(フランス)、ストラスモア、クレスター(ホルバイン製)などの
水彩紙を使ってみて下さい。発色がずっといいし、紙も画用紙より厚いので
へなへなになったり破れやすくありません。



私の描き方は、あくまでペンの「線」を中心に考えます。
「線」を生かす絵具で一番いいのは透明水彩絵具です。
油絵、グアッシュ、リキテックス、不透明水彩は「線」の上にかぶさって消してしまうので使いません。
透明水彩絵の具の中でも旅行などで使いやすい「固形」がいいでしょう。
<オススメ絵具>
・ペリカン固形透明水彩絵具24色セット(ドイツ・ペリカン製)
・ウインザー&ニュートン固形透明水彩絵の具16色または24色セット(イギリス・W&N製)
・シュウミンケ固形透明水彩絵具16色または24色セット(オランダ・シュウミンケ製)など。

※「線」や「道具」についてもっと知りたい人は、講談社刊『絵を描きたいあなたへ』、
『絵を描く、ちょっと人生を変えてみる』に詳しく書いてあります。



1. 固形水彩絵具セット、丸筆大小3本、ペン3〜5本、F4サイズのスパイラル型スケッチブック筆洗い、
一応下描き用のエンピツと消しゴム、ミニゾーキン。
以上を揃えネットバックなどに入れて用意する。
2. 外国へ行ったら、いきなり描こうと思わない。ゆっくり歩いて雰囲気に慣れる。
次に感じのいいカフェを見つける。飲みものと、軽い食べもの一品を注文。運んできたら、
ペンとスケッチブックを出し、スケッチブックをタテにしてやや下の方の中心に、
飲みもののカップの輪郭を線で描く。ゆっくりと眺めながら皿、スプーンも描く。
ここでいきなりペンでは描けなかったらエンピツ下描きをしてもよい。
飲みものがなんとか描けたら、上に向かって目の前のものを描き広げていく。
テーブルの向こうにある椅子、客の後ろ姿、窓なども描いていく……。
3. つまり海外旅行では、いきなり風景や人々の姿など描かずに、落ち着いた場所で、
ごく身近で見なれたものからスタートします。一点突破です。
全体の構図など考えず「描き広げ」ている内に「風景」になってしまうようにするのです。
初めての人でも、この描き方なら、必ず、「海外スケッチ」が出来ます。ぜひ試してください。

※初めて旅先で「人物」を描こうという人には、草思社刊『旅で出会う、絵になる人』をおすすめします。
「人間スケッチ」の極意が満載です。もちろん揃える道具なども載っています。参考にしてください。